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大満月の祖父

ちょうど30歳の時、転職し、

大阪に住んでいました。

 

福岡生まれ、福岡育ちの私が

なんのつてもなく、コネもない

大阪に配属され、

1人暮らしをしていました。

 

私の様子を心配した

両親、兄、祖父が

配属直後に大阪へ私に会うために

来てくれました。

 

祖父は新幹線に乗り、

電車から乗り継ぎ、降りると、

両手に杖をついて、私のアパートまで、

息を切らしながら歩いていました。

 

私が声をかけると、

「じーちゃんのことは心配せんでよか!」

と言い、また1人でテクテクと歩いていました。

 

翌日、皆で大阪観光をし、私以外の4人は

その日の内に福岡へ帰って行きました。

 

その観光途中、祖父が私に

「おまえ(私のこと)が誰も知らん土地で、

1人で働き、生活し、じーちゃんは心配でたまらん。

だけん今回、見に来た」と言いました。

 

私はえーーーー!?!?とびっくりしました。

なぜなら、祖父は私のことを心配しているとか、

私のために行動するような人とは

思っていなかったからです。

 

 

今、3歳になる息子は里帰り出産で、

福岡の実家に産前産後お世話になりました。

 

産前産後の数カ月間を実家

(両親と祖父が3人で暮らしている)で過ごし、

いよいよ私が神奈川の家に帰る日、

祖父が泣いていたのです。

 

「しゅん(私の息子)を大きく育ててよ!」

「しゅんちゃんと離れるのは寂しい。

おまえ(私のこと)が頼る人(私の両親)がいない環境で、

子育てするのが心配だ」と泣いているのです。

 

私はまた

えーーーー!?!?!と思いました。

 

私の知っている祖父は、

瞬間湯沸かし器のように短気で、

怒りっぽく、近寄りにくい性格でした。

 

それ故、私は小さい頃から、

しょっちゅう祖父とは喧嘩をしていました。

 

祖父は現在90歳です。

歳を重ねるごとに、

人柄が丸くなっているように感じます。

 

昔の祖父だったら、

絶対に口にしないような言葉、

例えば、私の息子に対して、

「しゅんちゃん大好き!」と言ったりします。

 

初めて祖父の口から

その言葉を聞いたときは

驚きであいた口がふさがりませんでした。

 

祖父の口から「大好き」だなんて、

私は息子が産まれるまで

一度も聞いたことはなかったです。

 

もともと祖父はそういう愛情あふれる人

だったのかもしれません。

 

しかし、私が長年、

祖父とはこういう人間だと

決めつけていたので、

祖父の素晴らしさを随分、

見過ごして生きてきたように思います。

随分と祖父のことを三日月でみていました。  

 

佐藤先生のおっしゃる

「すべてのすべてが大満月」。

そう思えなくても「前提」として接する。

これは人生の時間を

1秒も無駄にしないための

キーなのだと思います。

 

祖父の素晴らしさをもっともっと発見し、

祖父に頻繁に伝えていきたいと思います。

 

早速本日も祖父に電話をします。

 

最後までお読みいただき、

ありがとうございました。